映画三昧の締めは……

俳優でもあるショーン・ペン監督が、原作に心を揺さぶられ、10年もの歳月を費やして映画化権を獲得した、懇親の作品。
私がこの作品を知ったのは、公開から10年くらい経ってからでした。
映画好きな私が知らなかったということは、また別の話…。
何か面白そうな作品は…と、あれこれ調べていて出会いました。
あらすじを読んだだけで、強烈に引き寄せられてしまい、即DVDを注文し、仕事帰りに書店へ向かいました。目的は原作本の『荒野より』を手に入れるため…。
願いは叶い、アパートへ帰る道程何度も表紙を眺めては、読みたくなる気持ちを抑えるのが大変でした。
これ程の若者がいたなんて……
後日、DVDが届き早速観てみると、原作で読んだ彼が其処にいました。
裕福な家庭に生まれ、何不自由ない生活とは裏腹に、それに溺れず、真の自分を追い求める青年の姿は、かつての自分、当時の自分の姿と重なる瞬間があり、観るたびに問い掛けられる思いでした。
不幸にもほんの僅かな勘違いから、命を落としてしまうラストシーンには、目が離せなくなってしまいます。
青年が遺体で発見された後、無謀過ぎるとか、たいした知識も無いくせにと揶揄する意見もあったそうですが、そんなことはどうでも良いこと。
結果的には悲劇となってしまいましたが、自分の進む道や生き方を自分自身で探り続けたことこそが、何よりも大事なんです。
ラストに、廃バスの前で微笑む本人の写真が出てきます。
その笑顔は、私には満たされたものに見えるのです…。